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2005年 12月 19日
エンタープライズ
シーズン終了を受けて(その4)

「宇宙艦隊に所属する宇宙船とその乗組員は、いかなる社会に対してもその正常な発展への介入を禁止する」

スタートレックの歴史を見るとアメリカのその時代が分かるといわれている。

DS9は、中東(というよりはエルサレムとパレスチナ)の舞台を宇宙に移したドラマだった。
宗教観と憎しみの歴史が複雑に連鎖し、今までのスタートレックのドラマに比べて重い雰囲気を醸し出していた。
中道左派のクリントン政権から、右タカ派のブッシュ政権に変わるのとシンクロするように、DS9は戦争が主体のストーリーへと転じることになる。

現在のスタートレックの歴史観を作ったのはTNG(新スタートレック)であり、その象徴的な存在が「艦隊の誓い(Prime Directive)」であろう。
最優先の指令=Prime Directiveである「艦隊の誓い」とは、内政不干渉である。
この誓いと道徳と感情の狭間で、ピカード館長が悩むというのが、TNGというドラマが道徳的であり哲学的であるといわれる由縁なのだろう。
中道左派のクリントンも外交で同じように苦戦していた時期だった。

地球に帰還するというヴォイジャーのストーリーでは、その「艦隊の誓い」よりも遥か彼方の地球に向かうことが優先されていた。それがこのドラマの好き嫌いとして表れたのだと思う。

そして、打ち切れが決定したエンタープライズは、不可逆的な領域に足を踏み入れてしまった。
それはまさに父親から受け継いた遺産を、いまだに負債だと気がつかないブッシュ・ジュニアのようでもある。

発端は第2シーズンフィナーレ。
地球が謎の探査機から激しい攻撃を受け、エンタープライズに帰還命令が下る。帰還途中、アーチャーはスリバン船に拉致され、ヒューマノイドから地球を攻撃したのはズィンディという種だと知らされる。
これにより、エンタープライズ号は、次なる大量破壊を防ぐべく、ズィンディ星に向かうというのが、第3シーズンのストーリーだ。
この大量破壊が911で、ズィンディがイラクであるのは間違い無いだろう。
というよりは、ズィンディの設定がそのままイラクなのは、どうにかならなかったのだろうか?

フセインの独裁により、様々な人種と宗教が押さえつけられていたイラク。
球体創造者により、ヒト族、爬虫類族や水中族など様々な種がまとめられていたズィンディ。

予想通り、フセインを取り払った途端に内戦を始めたイラク。
球体創造者に疑問を持たせる事により、種族間でのイザコザが始まったズィンディ。

中道左派の時代に形を作られたスタートレックとしては、この右タカ派バリバリのストーリーは見ていて辛かった。
特に以下の2話は酷かった。
第69話「トゥポルの反乱」HATCHERY
エンタープライズはズィンディの昆虫型昆虫族船を発見。そこで発見したのは複数の成虫の死体と数十の卵を擁する孵化室だった。アーチャーは直ちに死体をエンタープライズに移し分析しようとするが、卵がアーチャーの顔に液体を噴射。その時からアーチャーが徐々に異常な行動を示し始めた。
第71話「球体創造者」DAMAGE
アーチャーが見せた証拠でデグラは球体の創造者を疑い始め、アーチャーをエンタープライズに返す。避難した彗星塵雲でエンタープライズは遭難したイリリアン船と遭遇、ワープ不能になっていたエンタープライズは協力し合えないかと救助に向かう。しかしエンタープライズに必要な物資を渡してしまうとイリリアン船は故郷に帰るのに3年もかかってしまうため、クルーの命を危険に晒せないとイリリアン船長は断り、物別れに終わる。
第69話では、結局エンタープライズは孵化した昆虫族の子供を半ば見殺しにしてしまう決断をする。

そして、第71話では、ワープコイルを奪還する為にイリリアン船を襲撃する。
イリリアン人は悪役として描かれておらず、その異星人から車でいえばエンジンを盗むというエピソードをわざわざ作ったのは、目的の為には手段を選ばないということと、大きな正義の為には小さな正義が潰されるのは仕方ないという現在のアメリカの外交を現しているのかもしれない。

そして、シーズンはファイナルを迎えて、エンタープライズ号の任務は無事に完遂する。
その結果、ズィンディ内戦が始まろうとしていたが、エンタープライズ号にとってズィンディ星での内乱の可能性は、他の星の出来事でしかなかった。

そして、最終第4シーズンへと物語は続く。

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#76最終決戦スタートレック・コミュニティ
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by barry_lions | 2005-12-19 11:29 | TV Drama


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