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2007年 12月 29日
ブルー・リング
今年(2007年)読んだ本(備忘録)。
ブルー・リング
日は沈み、やがてまた必ず昇る
サッタから妻子を亡くしたクリーシィーへのメッセージ。

というわけで、再びクリーシィーの復讐劇が始まる。
今回は義理の息子マイケルの産み落とされた理由を探る旅から始まるわけだが、それだけでは冒険活劇小説にはならないわけだ。
もし焦げるほど熱いオーブンに二秒間座れば、二分間のように感じるが、もし美女に二分間キスしても、二秒間にしか感じない
拷問されながら、学校でのアインシュタインの相対性理論の説明を思い出すというのも中々面白い。
最悪なのはサディズムだ。それを育む要因は権力であり、そこには人種、信条、文化性別の壁はない


十八年ほど前、カラブリアの山村で、ひとつの遺恨が結末を迎えた。遺恨は三十年も続き、その間にふたつの家族から二十人以上の死者が出た。遺恨はあまりにも長く続いたので、そもそもの原因がなんだったのか、だれも思い出せなかった。とうとう片方の家族に生き残った男はたったひとりしかいなくなった。復讐の掟というすばらしいものがあって、少年は十六になると大人になり、殺したり殺されたりする資格を持つ。生き残った男の子は十五の時に母や姉たちからこう言われた--十六の誕生日が来たら父の銃を取り、死んだ父や兄弟や伯父や従兄弟の仇を討て、と。少年は復讐なんかするもんかと腹に決めていた。その態度は母や姉たちの恥の種だった。この話がイタリアと世界に広く知れ渡ったのは、地元の司祭が一部始終を知っていて、報道機関に知らせたからなんだ。
少年を引き取ろうという申し出でがイタリア中のたくさんの家族からなされたし、もちろん警察は保護を申し出た。しかし少年はすべての申し出でを断ったんだ。十六の誕生日の前の晩、母と姉たちは少年に唾を吐きかけて家を出ていった。家のドアは開けたままにしておいた。真夜中の十二時を一分過ぎると、仇の家族の男たちが銃を手にしてやってきて、テーブルに座っている少年を射殺した。母と姉たちは少年の葬式への参列すら拒んだものだった……これが復讐なのかね?
復讐の鬼クリーシィーが復讐の虚しさを説く。

勧善懲悪。
振り上げた拳の落し所。

クリーシィーシリーズには、日本人が大好きな結末とカタルシスがある。
そのストーリーの単純さ、それに反するテーマの深さがミスマッチを起こして、人気の秘訣となっているのだろう。
by barry_lions | 2007-12-29 13:32 | Memo


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