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2006年 10月 29日
Iron Maiden@東京国際フォーラム。
アクセル・ローズに言われるまでも無く、Iron Maidenのコンサートはアミューズメントパーク的な要素を兼ね備えている。
WWEが自らをエンターテイメントスポーツと称しているが、Iron Maidenを始め80年代からのビックバンドは、観客を飽きさせない仕掛けが用意されているエンターテイメントロックショーとでも呼ぶイベントになっている。




今回のツアーのセットリストは「新譜を1曲目から順番通りに全て演奏する」という、ベテランで古くからの曲を愛されているバンドとしては、とても挑戦的なモノとなっていた。
基本的にアーティストのインタビューなどは読まないので知らないが、再結成で人気が復活して昔の曲でオーディエンスを喜ばせながらプレイを続けているバンドとの一線を引こうという魂胆なのかもしれない。にしてもだ、このセットリストは、昔のイメージを引き摺っているコンサバなファンをバッサリ切ってしまうくらいに勇気の必要な選曲だ。
スティーブ・ハリスの男気を感じずにはいられない。

会場16時、開演17時。
武道館では開演前の時間に披露された(らしい)スティーブ・ハリスの娘だが、今回の国際フォーラムでは、開演の17時から演奏が始まった。
武道館の時間やスケジュール管理は厳しく、あのWWEでさえキッチリとショーケースを終えていた。
予約後にキャンセルを行った興行主には、次回は貸さないというのも有名な話だし、馬場時代の全日が唯一22時を過ぎた興行を許されていたという逸話もある。
ともあれ、武道館では延長時間を考慮して、開演前に始めたのだろう。
どちらにしても、X Factorのツアーで従えていた「My Dying Bride」のような音楽的類似による抜擢では無いのは明らか。
この辺りは、漢スティーブ・ハリスも親バカということか。

話を戻してIron Maidenのライブ。
Doctor Doctorからイントロのクラシックに入って、最後はモンティパイソンで締めるというSEの流れは、ここ最近のライブの定番。
今回は「ハゲ山の一夜」(だったのかな?)。個人的には前々回辺りの「モンターギュー家とキャピュレット家」のセンスに唸ったりもした。
そんなSEのイントロから、先述のセットリストのライブに入る。

Maidenの定番のコメントで「ライブで聴くと格好良い曲だった」というのがあるが、今回もその通り。
アルバムよりもライブの方が良い出来に仕上がっている。
個人的には、最後の2曲が退屈なので、その部分だけが辛かったが、それ以外はとても楽しめた。
そこから、往年の名曲を数曲やってフィニッシュとなるわけだが、う~ん、ブルースのVoは相変わらず酷い。
今回は途中で、空調の調整をしなかったスタッフを愚痴るというMCもあったりしたが、基本的にライブでのフェイクやハイトーンが出なかったりは当たり前なので、まぁ仕方ない。
Good performerではあるが、Great singerでは無いと言ったら言い過ぎか。
「The Evil That Men Do」なんて、綺麗に歌ったのを聞いた事がないぞ。今回はそれより、「Hallowed Be Thy Name」が酷かった。

この部分だけ不満は残るが、最終的には今回のセットリストとバンドのパフォーマンスは、かなり満足のいく内容だった。

スティーブもヤニックも、少し前のツアーでは、ステージ狭しと走り回っていたが、今回は大人しめ。
ヤニックが忘れた頃に動くくらい。
デイブやエイドリアンは、基本的に動かないのはここ数年のデフォルト。
いや、デイブはここ10年くらいか?
そんなバンドの年齢を感じさせるステージアクションも、自らの年と重ね合わせてみれば、致し方ないと思えるし、何より音楽の再現性には問題が無い。
そう考えると、身体が楽器であるブルースへの注文は酷なのかもしれない。

そんなこんなで、Iron Maidenのライブは終了した。
新譜の間に「戦争系の歌詞である古い曲を挟んだり」「巨大エディを登場させたりする」対処方すらしなかったIron Maidenの心意気や良し。
退屈や中だるみはしなかったのか?と問われれば、応えに窮するが、それでも価値のあるIron Maidenの挑戦的なパフォーマンスを見られたのは、とても有意義であった。

Up the Irons!
by barry_lions | 2006-10-29 02:55 | Music


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